ウイズコロナでの読書録:

ウイズコロナでの読書録:

2020.07.12

『アンダーカレント』豊田徹也(2005)
ビル・エヴァンス同曲を聴きながら、言語化不可能な日常物語。目に見えない”繋がり”が、気づかなければそのまま離れていってしまう寂寥。

 

『資本主義リアリズム』マーク・フィッシャーCapitalist Realism Is there no alternative? Mark Fisher(2009/2018)
鋭い現代思想・経済・映画・ロックのクロスジャンル論考。

 

『監獄の誕生』ミシェル・フーコーSurveiller et punir, Naissance de la prison (Discipline and Punish: The Birth of the Prison) Michel Foucault(1977/2020)
コロナ状況下で腑に落ちる部分多数ある。 「この完全な<矯正施設>監獄は、矯正という補足的役割を委託された<法律上の拘禁>であった。そこに集めた悪人をもとにして同質的で連帯的な集団を形づくってはならないわけである。」孤立化<ソリチュード>から連帯感<ソリダリティ>へ・・・どこかの国のようで皮肉だ。

 

『デヴィッド・シルヴィアン』クリストファー・ヤングOn the Periphery: David Sylvian – A Biography Christopher Young
エレクトロニカ界の吟遊詩人のバイオ。作品の裏に隠された実験や苦悩の数々がやがて繋がるプロセス。「醜い感情が美しい死を生むこともある」という心の淵ものぞかせた。

 

『MISSING』村上龍 (2020)
作家の過去の記憶の中で気になるずれ・瑕疵のような”失われたもの”の本質を探す内面の旅。映像が浮かぶこういう世界もいい。

 

『プログレッシブ・キャピタリズム』ジョセフ・E・スティグリッツPeople, Power and Profits Joseph E. Stigritz(2019/2020)
辛辣、博愛主義、ポジティブ。アメリカにとってはプログレッシブなのだが、欧州や日本も体制主導で、保険などの社会制度は進んでいる(手厚い、というべきか)。いかにアメリカの新自由主義が行き着くところまで行き着いたのかを考えさせられる。

 

『暗黒の啓蒙書』ニック・ランドThe Dark Enlightenment Nick Land (2012/2020)
スティーグリッツやフィッシャーと対極にいる英国の哲学者。BLACK LIVES MATTERを先取りするような議論、ゾンビ(社会・経済)終末論、オルタナ右翼など際どい(だから暗黒啓蒙的?)ところへも突き進む(でも刺激的な!)話。「民主主義のオルタナティブは存在するのか?しないのか?」と問いかける。ポスト・コロナで彼らの「(経済)加速主義」はどうなるのか

 

『ペスト』カミュLa Peste Camus(1947/1950)
発端は些細なことから。「こんな考え方はあるいは笑われるかもしれませんが、しかしペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです」